Introduction
岡山で浜松と博多のふたりのラーメン職人が出会い、夢を語り合いました。そして「暖簾をくぐればそこは博多?と思ってしまうほどのアトラクション型ラーメン店って面白くない?」と夢が膨らみ始まったのです。博多屋台ラーメン介ッち(すけっち)はそんな思いが詰まったラーメン店です。
お客様参加型のアトラクション型ラーメン店ですから主役はお客さまです。先ずはこの台本を読み想像を膨らませて頂いて、その続きのシーンをお店で体感ください。
お店のホームページはこちらから→博多屋台ラーメン物語介ッち公式HP
Cast|登場人物
-堂本はな 新介の妹
-源さん 初代すけっちの大将、おいちゃん
-春さん 源さんの奥さん
-町家の親父 源さんの同級生、鉄矢、鉄ちゃん
-町家の女将 鉄さんの奥さん、華世子、カヨさん
-信介の親友 ノブ、居酒屋大銀杏の店主
Scene01|回想
福岡市博多区須崎問屋街。
博多祇園山笠の廻り止でもあるこの地で生まれ育った堂本新介。近所のおいちゃんが引いていた屋台のラーメンとの出会いがこの物語の始まりである。
幼少の頃は日が暮れるまで、公園で野球をしていた新介。ちょうどその頃、源さんは屋台を引きながら営業の準備を始めた。
源さん「おーい新介!おいちゃんの屋台ば持ってくとばてつどうてんやい?」
(新介、おじさんの屋台を持って行くのを手伝ってくれないか?)
新介「うん!よかよ!」
(はい、いいですよ)
屋台を後ろから押しながら、公園の脇まで屋台を押して手伝った。
春さんが買い物を済ませ屋台に来たら、準備が始まる。屋台の傍らでその様子を眺めるのが新介の日課だった。
源さん「今日もありがとう!ラーメンば食うていきぃよ。」
(今日もありがとう!ラーメンを食べていきなよ)
新介「おいちゃん、今日もよかと?」
(今日もいいんですか?)
おやつのようにラーメンをすする新介。
ここから博多屋台ラーメンの物語が始まる。
Scene02|帰省
春さん「お〜新ちゃん久しぶりやね〜。帰って来たと?」
(新ちゃん久しぶりだね。帰って来たの?)
スーツに身を包んだ新介に挨拶する春さん。
新介「あれ?おいちゃんは?」
(あれ、おじさんは?)
春さん「ちょっと腰の調子が悪うて整骨院行っとうとよ。もう戻ってこうやぁ。」
(少し腰の調子が悪くて整骨院に行っているんだよ、もう戻って来ると思うよ)
新介と春さんが話ていると源さんが戻って来た。
源さん「新介、帰って来たとや!おいちゃんもくたびれてくさ、もうそろそろ引退ば考えよったい。ばってん、後をつぐもんもおらんけん、屋台も閉めないかんめーね。」
(新介、帰って来たんだ。おじさんも疲れて、もうそろそろ引退しようかと考えているんだよ。だけど、後継ぎも居ないから、屋台も閉めなきゃいけないかもしれないね。)
とさみしい一言。
やきとりを頬張り、ビールを片手に話を聞く新介。「この屋台がなくなるのかなぁ?」と寂しい思いにふけった。
Scene03|お櫛田さん
翌日、博多の総鎮守であるお櫛田さん(櫛田神社)へお参りした時、町家の親父さんとおかみさんに挨拶に行って話が急展開する。
町家の大将「おいちゃんの名前ば知っとうや?」
(おじさんの名前を知っているかい?)
新介「源さん?源介やろ?」
(源さんですか?源介でしょ?)
町家の大将「そうたい、源介たい!そこから、屋台の屋号ば『中洲介ッち(すけっち)』にしとったい」
(そうです。源介です。そこから、屋台の屋号を『中洲すけっち』にしてるんだよ)
新介「どゆこと?」
(どう言う意味ですか?)
町家の大将「源介っちってのが小さい頃の源さんのあだ名やったけんくさ、それを元に『中洲介ッち(すけっち)』にしたげな」
(源介っちってのが小さい頃の源さんのあだ名だったので、それを元に『中洲すけっち』にしたらしい)
新介「そうなん?」
(そうなの?)
町家の大将「それでくさ、源さんの名前にあやかってお前が新しく源さんみたいな人気者になるごと両親が『新介』って名付けたとバイ!」
(それで、源さんの名前にあやかってお前が新しく源さんみたいな人気者になることを願ってお前の両親が新介って名付けたんだよ)
新介「へ!そうと?」
(そうなんですか?)
町家の大将「ちなみにくさお前の妹の『はな』って名前はウチのかぁちゃんの華世子から来とうっちぇ〜。ウチのかぁちゃんみたいに綺麗で華のあるおなごになるごったい!」
(ちなみに余談ですがお前の妹の『はな』って名前はウチのかあぁちゃんの華世子から来てるんだよ。ウチのかぁちゃんみたいに綺麗で華のある女性になるように願いを込めてね)
二人、大笑い。
それから数日後、は新介は町家の大将に相談に行く・・・
Scene04|町家
新介「大将、横浜帰るばい!」
(大将、横浜へ帰ります) 町家の大将「そうや、気をつけて帰りないよ。今度来るたぁ山笠の時な?」
(気をつけて帰りなさいよ。今度来るのは山笠の時ですか?)
新介「うん、そう。ばってん、そん時は『介ッち』を継ぎに帰ろうと思っとるっちゃん。」
(そうですよ。でも、その時は『介ッち』を継ぎに帰ろうと思っているんですよ。)
町家の大将「は!なんごとな?源さんに言うたとな?」
(え?本当ですか?源さんには言ったのですか?)
新介「いいや、言うとらんばってん・・・。その時にびっくりさせちゃろうと思って!」
(いいえ、言っていません。その時にびっくりさせようと思っています。)
町家の大将「源さんは受け入れるやろか??」
(源さんは受け入れるかなぁ)
新介「頑張って口説き落とすよ!だけん会社も辞めて来る!」
(頑張って口説き落とします。だから、会社も辞めて帰って来ます)
町家の大将「気合の入っとうね・・・かぁちゃん、新ちゃんこげんいいよばってんどげん思うな?」
(気合が入っていますね。かぁちゃん、新介がこう言っているけどどう思う?)
町家の女将「新ちゃんがそこまで言うならやらせときぃよ。新ちゃん、山笠んときね〜。気をつけて帰んしゃいよ。」
(新ちゃんがそこまで言うならやらせた方が良いんじゃない?新ちゃん山笠の時に会いましょう。気をつけて帰ってね。)
見送る町家の大将と女将。 町家の女将「たくましゅうなったねぇ」
(たくましくなったね)
町家の大将「ほんなこったい」
(本当にそうだね)
博多駅へ向かいスーツケースを引き、歩く新介の背中に決意を感じた。
Scene05|山笠
「山笠のあるけん博多たい(山笠があるから博多です)」と言うCMがあったほど街全体が盛り上がるお祭り「博多祇園山笠」。
博多の総鎮守として知られるお櫛田さん(櫛田神社)の700年以上続く奉納神事である。
その時期に合わせて帰省した新介。
新介「久しぶりやなぁ。この感じ・・・」
就職して、横浜へ行くまで毎年この祭りに参加していた新介は久しぶりに見る街の様子を懐かしんでいた。
新介「女将さん、帰ってきたばい!」
(おかみさん帰ってきたよ)
餅屋の女将「あ〜新ちゃん、おかえり。部屋は用意しとうよ。」
(部屋は用意しているよ)
お櫛田さんの目の前の餅屋の大将のマンションに住むことになった新介。
鍵を貰って、部屋へと移動する。
新介「おお!よか景色やん」
(いい景色だなぁ)
目の前にはお櫛田さん。マンションの真下が山笠の出発点である「山留め」。
そこから清道を回るとこまで見れる好立地の部屋を用意してくれた。
その夜は、1階にある同級生の居酒屋銀杏で源さんと餅屋の大将と食事をすることになっていた。
Scene06|大銀杏
新介「ノブ、久しぶり!」
ノブ「お=新ちゃん!帰って来たげなね」
(帰って来たらしいね)
新介「そうなんよ。元気にしとうごたぁね」
(元気にしているみたいだね)
ノブ「大将に聞いたばってん。介ッちば継ぐとね?」
(大将に聞いたけど、介ッちを継ぐの?)
新介「うん。だけん会社も辞めて帰って来たったい!ノブ、色々よろしゅう頼むばい」
(うん。だから会社も辞めて帰って来たんだよ。色々よろしくお願いするね)
ノブ「気合の入っとうね!でも新ちゃんやったら都合よういくくさ!」
(気合が入っているね。でも新ちゃんだったら上手くいくよ)
新介「おいちゃんたちが来る前にちょいと乾杯しょうや。赤星ば出しちゃってん」
(おじさんたちが来る前にちょっと乾杯しましょう。サッポロラガーを出してください)
お互いに酌をしながら乾杯し昔話に花が咲く二人。
ガラガラ・・(扉の開く音)
ノブ「いらっしゃいませ〜」
町家の大将「なんな!あんたたちゃもう飲みようとな!」
(なんだよ。あなたたちはもう飲んでいるの?)
ノブ「すんまっしぇ〜ん。大将」
(すみません大将)
町家の大将「源さんはまだな?」
(源さんはまだ来ていないの?)
ガラガラ・・(扉の開く音)
ノブ「いらっしゃいませ〜」
Scene07|告白
ノブ「あ!きんしゃったです」(来られました)
新介「屋台ば休ませてすんまっしぇん」
(屋台を休ませてすみません)
源さん「よかとよ、で、どげんした?して、鉄ちゃんまで」
(いいよ、で、とどうしたの?そして鉄ちゃんまで)
町家の大将「新ちゃん、俺からはなすは話すばい。実はくさ、あんたがくさ屋台の引退ば考えとるっちゃろ?それでたい新ちゃんに相談されたったい。源さんの後を継ぎたいげな!あんた幸せやなぁ!」
(新ちゃん、俺から話すね。実はあなたが屋台の引退を考えているんでしょ?それで新ちゃんに相談されたんだよ。源さんの後を継ぎたいらしい。あなた幸せだね)
源さん「そげなこと?会社のあろうもん」
(そんなこと?会社があるじゃないか)
町家の大将「辞めて帰って来とんなぁとバイ」
(辞めて帰って来てるんだよ)
源さん「なしてな!」(なんでなの?)
新介「おいちゃんのラーメンが好いとうとけん、その味ば守りたいっちゃん!よかろ!」
(おじさんのラーメンが好きだからその味を守りたいんです。いいでしょ?)
ノブ「オレも好いとうもんねぇ〜介ッちのラーメン!ずっと食べたいバイ!」
(おれも好きだもんね、介ッちのラーメン!ずっと食べたいよ!)
町家の大将「源さん解っちゃんない!」
(源さん解ってやってよ)
源さん「儲からんばい。鉄ちゃんもそこまでいうならそげんするかなぁ」
(儲かる商売じゃないよ。鉄ちゃんもそこまで言うんだったらそうするかな?)
町家の大将「よかったな!新ちゃん」(よかったね、新ちゃん)
新介「ありがとうございます。」(ありがとうございます)
源さん「本当によかとな?」(本当にいいの?)
新介「逆によかとですか?もっと反対されるかと思いよったぁ。でも、源さんが引退して辞めてしまうのは勿体ないけん、餅屋さんの近くに小さな店ば作りますけん、そこでぼちぼちラーメンば作りよってください。常連さんはおいちゃんと話のしたかろうけん、ランチだけ開けるごとしまっしょ。そこでスープば仕込むけん、鍛えちゃんしゃい!」
(逆に良いんですか?もっと反対されるかと思っていました。でも、源さんが引退して辞めてしまうのはもったいないから町家さんの近くに小さな店を作りますからそこでぼちぼちラーメンを作ってください。常連さんはおじさんと話をしたいだろうから、昼間だけ開けるようにしましょう。そこでスープを仕込みますので鍛えてください。)
源さん「そげな事ばいつ考えよったとな!」
(そんな事をいつ考えたの?)
と目頭を熱くする源さん。
新介「がむしゃらに頑張るけん!みんなも応援しちゃりね」
(がむしゃらに頑張るからみんなも応援してね)
山笠も終わり、博多にも本格的な夏が始まる。
その青空の下、「源、介ッち」は、新介のエッセンスを加え、晴々しく「新、介ッち」として船出した・・・。
〜〜この続きはお店で体験してください〜〜
博多屋台ラーメン 介ッち(すけっち)
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